すい臓がんは特有の症状がないこともあり、早期発見が非常に困難な癌です。このため、すい臓がんによる死亡者数は年々増加の傾向にあります。
ところで、日本人のがんのなかで最も多いとされる胃がんでさえ、「早期発見」により完治が可能になってきている現在にあって、どうしてすい臓がんの治療は進まないのでしょうか? それは、すい臓には特有の症状がないため発見が遅れがちなことに加えて、すい臓という臓器の位置が治療を難しくしているということが由のようです。
さて、すい臓がどこにあるのか、あなたはご存知ですか? すい臓は大体みぞおちの奥、つまり胃と脊髄の間にあります。そして、十二指腸と脾臓に挟まれるような位置にあります。
ちなみに十二指腸側から、頭部、体部、尾部と呼ばれていますが、すい臓がんのほとんどは頭部部分(すい頭部)に発生します。
そして、すい臓がんの多くが発生する「すい頭部」は、すい液を十二指腸に運ぶすい管と、肝臓でつくられた胆汁を十二指腸に運ぶ役割をする胆管が合流する場所にあたります。
このような位置関係がすい臓がんの治療を難しくするとともに、肝臓などへの転移を早める原因ともなっているのです。
というのも、すい臓の周囲には肝臓に繋がる肝動脈や、腸に繋がる上腸間膜動脈、胃や腸から肝臓に繋がる静脈である門脈が張り巡らされており、これらの血管に癌細胞が入り混み肝臓などの臓器への転移を早めるのです。
これまでは、すい臓がんと判明したときにはすでに手の施しようがないことも多く、手術中の死亡率も高かったのです。しかし、1980年に日本すい臓病研究会が手術のガイドラインを決定して以来、現在では安全な手術が可能になってきています。